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買い物をする脳-Buyology

2009/04/07

Buyologyユーザービリティテストは気持ちがわかると言われてますが、実際の行動と照らし合わせると一致しなかったり、矛盾もあったり。

もちろん、きちんとした回答を得られる場合もあれば、そうでないこともあるということです。

というところまでがこのエントリーの導入で、久々に本のレビュー(か?)を書いていきたいと思います。

今回の本、「買い物をする脳-Buyology」はニューロマーケティング(Neuromarketing)という新しい調査方法から見えてくる、今まで間違っていたかもしれないマーケティングについて書かれた本です(自分の認識的には)。

ニューロマーケティングとは?

このニューロマーケティングとは、「見たもの・触れた物が脳にもたらす効果を脳スキャンによって効果測定することで、消費者自身も知らない好みや心の動きを明らかに新しいマーケティング手法になり得るもの」だそうです。

ニューロマーケティングの目的は、人々の脳に考えを植え付けたり、買いたくもないものを買わせたりすることではなく、私たちの脳にすでにあるものを解明することだ。(P55)

といった感じでこの本は、そんなマーケティングと科学の融合について、非常に読み易い切り口で語られています。ということで印象に残ったいくつかをご紹介。

衝撃的な調査結果

この本の面白味の1つに衝撃的な調査結果がいくつも出てきます。タバコのパッケージに印刷されている写真等は、禁煙を促すどころか、禁煙を促進していることがわかったり、アンケートと全く逆の結果が得られたりしたことが様々なポイントで例として出てきます。

プロダクト・プレイスメントを効果的に利用するためには、ただ雑然と商品を画面に垂れ流し、視聴者が反応してくれるのを待つのではなく、より巧妙で綿密な戦略をとることが必要だ。(P73)

最近ではゲームなどでも取り入れ始めているプロダクト・プレイスメントですが、ニューロマーケティングのアプローチで考えると、なんでもかんでも入っていればよいということもなく、効果的に使われていないと全く意味が無いという結果も実際の有名ブランドとTV番組の調査結果として出てきます。

これって恐らく、最近ネット広告界隈で話されることが多いアシストの話にもつながると思うのですが、意味のある広告として入りこんでいれば効果はあるかもしれないですが、全く関係のないものに入り込んでいる広告は意味がないとも言えそうだなぁと自分は捉えてます。

ブランドは宗教?

熱狂的なファンというのは、ある程度知名度のあるブランドには必ずいるものだったりします。熱狂的なファンのことをMac信者とかSONY信者とか言うように、もともとブランドは宗教的な要素が近いともいえるかと思います。

強力なブランドと宗教的な偶像やシンボルでは、被験者の脳の反応に明確な違いはなかったのだ。(P158)

ということで脳の中身を見ると、実はブランドと宗教とは似たところにいるようです。拡大解釈をしてしまえば、宗教的なアプローチをしていくことで、ブランドを強化することもできるかもしれないということなわけです。

世界が画一化で、潔癖で、均一的になっていくなかで、儀式はブランド化する要素になる。(P129)

宗教でも様々な儀式が存在するのと同じように、生活の中に密着した儀式、歯を磨くことからはじまり、コロナビールにライムを入れるように、「儀式」の中にブランドが入り込むこと、それによってさらにブランドが強化されていくわけです。

そして強力に作り上げられたブランドは、宗教的なものをなんらかわりがなく、結果「宗教になること」自体が「儀式」と結びつき、生活に密着したブランドとなるのかもしれないなぁと改めて感じさせられました。

ソマティック・マーカーで違う2つをつなげる

ソマティック・マーカーとは、一見違うものを何かのきっかけで結びつけてしまうもので、「ぽにょ」と聞いたら宮崎駿のアニメになってしまうかのようなもの(本文中はそんな例えは無いですが)だそうです。

実際はブランド選びはタイヤそのものとはほとんど関係がなく、ブランドが入念に築いたソマティック・マーカーに関連している。(P169)

自分は、今まで、ブランドの印象がより強固になれば、その分思い出し易くなり、選択がされやすくなると捉えていたのですが、それはどうも、セマティック・マーカーが影響しているようです。

ただし、このセマティック・マーカーは怖いもので、悪い印象と結びついてしまうと、そのブランドが悪くなかったにせよ、ブランド自体に悪い印象を持たせてしまう可能性もあるそうです。

最終的に語っていることは違っていても、たとえばCMから嫌悪感などを受け取ってしまうと、結果、嫌悪感とブランドが結びついてしまうこともあるそうで、良かれと思って作ったものがそうではない場合があるということなわけです。

五感に訴える

実際には、視覚的イメージは視覚と嗅覚いったように、ほかの五感と組み合わせた方が、はるかに効果的で印象的になる。消費者の心をがっちりつかむためには、いたずらにロゴを並べ立てるだけでなく、鼻に匂いを送り込んだり、耳に音楽を流し込んだりするほうが効果的だということに、企業は気づきつつあるのだ。(P181)

以前、友人に「やすらぎ」を醸し出すためには何が必要か?という質問をしたときに「におい」という答えが返ってきたことがあります。

CMの最後に流れることの多い「サウンドアイデンティティ」もこの視覚以外の聴覚にも入り込むブランドだと言えると思います。

音やにおいなどを含めてブランドを作ることが出来れば、よりそのブランドイメージは雰囲気として心に刻まれるのかもしれません。そういえば、お寺での線香のにおいもそういう効果があるのかも。

まとめ

Buyology
ということで、駆け足ですが本書の内容の気になった部分に触れてみました。

今までサーベイの結果と市場の結論が違った方はニューロマーケティングの扉を開けてみるのも良いかもしれません。

企業がニューロマーケティングから学んだ最大の教訓は、消費者に購入の理由を尋ねるといった従来の調査方法で理解できるのは、意思決定のもとになる脳のプロセスのほんの一部できしかないという事実だ。(P246)


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