アクションを取れるダッシュボードとは?
ECサイトを運営していると、解析ツールやBIツールを駆使してダッシュボードを作成しますよね。しかし、気づかぬうちにそのダッシュボードがただのKPI確認ツールになってしまっていたり、、というのはよくあること。しかし、これではもったいない。ということで、今日はアクションに繋げられるためのダッシュボードについて少し。
ダッシュボードの設計ポイント
効果的なダッシュボードを設計するためにはどうすればよいでしょうか?まずは、設計にあたり特に以下のポイントを考慮することが重要です。
- 誰が利用するのか?
- どんな目的で使うのか?
- どういうタームで確認するのか?
この辺りはデジタル庁が出しているダッシュボードデザインの実践ガイドブックにも書かれているので参考にして頂けると良いかと思います。
今回のテーマである「アクションが取れるダッシュボード」という視点で考えると、例えばサイト運用者であるあなたが毎日ターゲットの状況を確認し、その対策を取れるようにする場合に、その状況に応じたアプローチを踏まえた設計が必要なわけです。
アクションできる数字とは何か?
少し具体的な例で考えて見ましょう。ECサイトの管理者としてあなたは毎朝、出勤するとダッシュボードをチェックし、前日の成果を確認します。売上や訪問者数、コンバージョン率などなど。もし、この数字が目標に達していないとしたらどうしますか?何かしらそのKPIの達成に向けてアクションを起こしますよね。
例を挙げてみましょう。例えば売上げ目標が1000万円だった時に、ダッシュボードを確認したところ下記のようになっていました。どうアクションが取れるでしょうか?
直近は割と上り調子だし、これなら大丈夫!と思うでしょうか。それとも、厳しいと思うのでしょうか。これだけだと判断が難しいですよね。しかし、実際のところこんな感じのトレンドグラフのみがダッシュボード上に設定されてしまっていることも多いのではないでしょうか。
これが例えばグラフとともに下記の情報があったらどうでしょうか。
目標金額 | 現在の累計売上 | 不足分 |
---|---|---|
1000万 | 400万 | 600万 |
これでだいぶターゲットに対してのイメージが持てるようになったかと思います。しかし、まだすぐにアクションが取れるかどうかというと、難しいところかもしれません。さらにこれをすぐに判断できるようにしていきます。
目標金額 | 現在の累計売上 | 不足分 | 日別平均売上 | 不足分÷残日数 |
---|---|---|---|---|
1000万 | 400万 | 600万 | 26.7 | 37.5 |
現状の平均売上を算出し、不足分を残日数で割った数字を出しました。これが日別平均よりも多い状況なので、現状このままでの売上が続くと達成できないという判断になってくるでしょう。つまり現状のままでは<恐らく目標には達しない>ということが分かりました。
これでも何かしら動き出すことは可能でしょう。さらにここに下記のような情報があったらどうでしょうか。これは平均単価と現状のコンバージョン率(CVR)から、不足している売上に必要な訪問数を出したものです。
平均単価 | CVR | 差分必要訪問 |
---|---|---|
5000円 | 3% | 722訪問 |
つまり、現状の1日あたりの訪問に対して、あと722訪問ぐらいは確保していかないと、売上目標には達成しないかもというところが分かってきます。あとはこの数字をどう確保しようかを考えれば良いわけです。短期的に実施できることとしては、広告、メルマガ、SNSなどでどうこの数字を組みたてていくかを考えられるようになります。
あなたのがアクションできる数字とは?
ECを例にとってみましたが、様々なサイトによって、アクションできる数字は変わってきます。大きくは2つの整理をしていくと良いでしょう。1つはKBOです。これは戦略上何を評価していくべきかをKey Business Objectとして整理していくアプローチです。少し古いエントリですがKBO : Key Business Objectives Treeを作るなどを確認し、KBOを整理していくことでより意識しやすくなると思います。
もう1つは自分が出来るアクションを整理しておくことです。先ほど、広告やメルマガなどを例として挙げましたが、実際にアクションできることは、広告やメルマガのように比較的すぐに着手できるものと、サイト自体の改善など中期的に時間がかかってしまうものもあります。
これら短期的に実施できること、それぞれはどの程度のインパクトがあるものなのか、などを整理しておくとダッシュボードのアクションできる数字から何をすべきか動きやすくなります。
ちなみに先ほど書いたECの例では、不足分について書きましたが、さらにこれに加えて製品で効果があがっているもの、そうではないものといったものも併せて確認できるようにしておくことで、それぞれの施策をする上で、その中身も検討しやすくなります。より引きが強く、購入率が高いものをコンテンツに入れておくことで、より効果の高い施策を実施できるようになります。
まとめ
ダッシュボードは他にも多岐にわたり考慮する項目があるのですが、今回は特に見落としやすい<アクションに繋がるダッシュボード(数字)>について触れてみました。
実際にこれで運用がしやすくなり、効果的にPDCAを回せるようになりますので、ぜひ改めて自身のダッシュボードを確認し、本当に必要な数字、アクションに繋がる数字は何かを整理してみて頂ければと思います。