Starbucks のデジタルを利用した顧客体験への取り組み
少し前の決算でとても良い結果が出ていたStarbucksについて、デジタルへの取り組みがとても興味深かったので色々と調べてみた結果を少しまとめてみました。(基本はUS情報です)
Digital Flywheel 戦略
2016年12月に実施されたInvestor Dayで発表されたデジタルトランスフォーメーションの戦略がDigital Flywheel戦略です。Rewards、Personalization、Payment、Orderingという4つの項目を軸にデジタルを活用していく指針となっています。
このDigital Flywheel戦略は直近の決算でも触れられており、2024年の今でもStarbucksの重要なDX戦略となっています。
この戦略が全て顧客視点に立っているというところがポイントで、顧客のフラストレーションになってしまうようなポイントやさらにエンゲージメントが高まるようなところに対してセットされている感じになっています。
2020年のNRFで当時のCEOだったKevin Johnson氏がお話しをされていて私自身が非常に印象的だったのが下記です。
現代の小売においての2つの鍵はBlick & Mortarの世界で魅力的な顧客体験を作成し、それをデジタルエクスペリエンスに拡張させていくこと
Kevin JohnsonPresident and CEOStarbucks(2020年NRFにて)
まさにこのDigital Flywheel戦略はこのポイントになっている感じがします。
Mobile Order & Pay
そんな中でこのDigital Flywheelの中心となっているのがアプリです。Mobile Order & Payというのが提供されていますが、これにより店舗のオーダーをアプリ側で事前に実施したり、Payment(支払い)もできるようになりました。
これまで店舗での飲み物の受け取りは店舗でオーダーして、出来上がるのを待って、受けとるわけですが、このMobile Orderを利用することで商品準備にかかる時間を事前に作ることが出来るようになるため、お客様は商品を店舗で待たずに受けとることが出来るようになります。
オムニチャネルの提供によって、情報を付加や一貫した体験の提供、時間短縮などを提供することになりますが、まさにこれは時間短縮により待ち時間を無くすという対応を行っています。モバイルアプリを顧客接点の中心にしていくことで、Mobile Payの展開などもしやすくなっているのは非常に数年経った現在において非常に大きなアドバンテージになっているかなと思います。
その他のデジタルの取り組み
その他にもデジタルの取り組みは色々とされています。ここでは長くなりすぎてしまうので簡単にリストアップだけ。
Deep Brew
Azureベースで構築されているAIを活用したStarbucksのデータプラットフォームの名称です。このDeep Brewは現在のStarbucksのデータ活用のベースとなっており、顧客接点から取得できるデータから、環境データなど様々なものを収集、集計し、さらにはパーソナライズや商品開発に活かしています。
ドライブスルー
Starbucksの特にUSにおいてはかなりドライブスルーが重要な販売チャネルになっており、ドライブスルーのデジタルサイネージの取り組みはもちろんのこと、顧客接点での最適化などを対応していっています。
リワーズプログラム
これはDigital Flywheelに含まれている項目ではありますが、次買うというモチベーションを作る、ロイヤリティプログラムですね。スター獲得やスタンプなどゲーミフィケーションを取り込むなどして、非常にうまく構成されています。
様々な店舗形態
店舗形態の1つとしてピックアップ専門店やそれをAmazon Goと連携をしたり、さらにはこういったところでの取り組みから発展して直近ではデジタルもうまく活用したアクセシビリティの高い店舗を展開していたりもします。What’s inside a more accessible and inclusive Starbucks store?
Starbucks Odyssey
NFTの取り組みとして実施されているのがOdysseyです。より高いロイヤリティを生み出すための仕組みとして数年前から取り組まれています。NFT自体は若干下火になりましたが、それでもこのStarbucksの取り組みは機能しているとのレポートが直近も出ています。Starbucks Odyssey’s community lead sees NFTs as the best way to build brand loyalty | TechCrunch
まとめ
といったところで昨年末のStarbucksのInvestor DayではCTOの方が「StarbuksはTech Companyである」と話されていましたが、改めて調べてみると本当にうまくデジタルを活用しているなぁというのが色々と整理してみた感想です。
手元ではより細かく顧客体験の設計と照らし合わせたものも作成していますので、もし詳細にもご興味がある方は是非ご連絡ください。