Nordstromのデジタルを利用した顧客体験への取り組み

Nordstrom画像

定期的に実施している様々な企業のデジタルを利用した顧客体験の取り組み事例、今回は高級百貨店のNordstromです。昔から様々なデジタルの取り組みをされているのですが、そのアプローチを少し棚卸ししてみました。

戦略としてのデジタルへの取り組み

もともとデジタルの取り組みは早いタイミングから実施されており、One Nordstromという店舗、オンライン、低価格帯ブランドのRackの店舗、オンラインを統合していくアプローチを取っていました。

このアプローチを一歩進めたのが2021年に触れられている「Closer to You」戦略です。これまでも投資してきたデジタルプラットフォームの潜在能力を最大限に引き出すための戦略としてプレスリリースの中でも触れられています。

このCloser to You戦略のポイントは大きく4つ定義されています。

  • より深いインサイト(Deeper Insight)
  • 新規顧客(New Customers)
  • より多くの選択肢(More Choices)
  • より良いサービス(Better Service)

1と4に関しては特にプロファイル統合によりパーソナライズされた体験、オムニチャネルでのシームレスな体験を提供するポイントとなっています。

顧客基盤の統合

全てのチャネルのコミュニケーションを統合し1つのプロファイルにしています。全ての施策はこれがあることで実現出来ているというところは大きいかと思います。

また、先ほどのポイントの2つめにあたる「新規顧客」については、主に低価格帯ブランドのRackを中心に獲得していくことが触れられています。それに向けてのリブランディングも2023年4月に実施されています。

このRackは低価格帯ブランドでありながらも、Nordstromの名前を冠しており顧客基盤としてはNordstromと同じ基盤で運用されているようです。それもあり、ここで獲得をした新規顧客をRackだけでなく、Nordstrom側にもシフトさせていくことで全体のLTVをあげていく施策を実施可能になっているわけです。

店舗体験との統合

デジタルとの棲み分けについては、Nordstromは様々な取り組みを実施してきており、これまでのどっしりと大きな店舗を構えているといういわゆる高級百貨店的なアプローチだけでなく、在庫を持たない小さな店舗でBOPISや試着などをできる、体験に重視した小型店舗を展開したりもしています。

プロファイルが統合されていることで、アプリを活用したオムニチャネルでの顧客体験も展開しており、その1つとしてReserve & Try in Storeというのがあります。これはオンラインで試着予約を行い、店舗で試着を行うことができるサービスです。

実際に店舗に訪問すると試着室のドアに自分の名前が表示されており、試着室に入ると選んだ予約していた商品が置かれているそうです。予約のため事前に購入する必用はなく実際の現物を確かめるためのサービスとなっています。

オンラインでの検索性と実店舗で実物を見られるという利点をうまく組み合わせたようなサービスとなっています。

マーケットプレイス

店舗の課題の1つとして商品を置けるスペースは有限であることがあります。これに対してオンラインは表示するという点においては無限にその領域を広げていくことも可能です。

この利点をうまく活かし、Nordstromではこれまで店舗では規模の問題で難しかったものをオンラインのマーケットプレイスをオープンすることで広げるということを実施しています。

これらも何でもかんでもマーケットプレイスでということではないようで、きちんとNordstromのブランドとしての品質基準を満たしたものを展開しているとのことで、その辺りがオンラインでのNordstromに来訪する意味を作っている感じがします。

まとめ

他にもメールマーケティングやアプリの機能など様々なアプローチを実施しており、ここでは書き切れないところもありますので、ぜひ知りたい方はお問い合わせを頂ければと思います。

Nordstromは店舗を持つ老舗としては、かなりデジタルに積極的なアプローチをしている企業かと思います。そしてその積み重ねにより様々な顧客体験のアプローチができている企業です。

一方で、直近では非上場するという話もあり、少し情報が出てきにくくなる可能性もあるのかなと思い、いったんこのタイミングで整理をしてみました。

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