Adobe Summit 2013 レポート1

少々出遅れてしまったのですが、先日USで実施されたAdobe Summit 2013のレポートを記載しておきたいと思います。今年も盛りだくさんでした。とりあえずSummit全体を通して見えてきたキーワード群についてまとめました。

The Last Milliseconds, Digital Readiness

去年のSummitで語られたキーワードの1つが「Digital-self」というものでした。これはTwitter、Facebookをはじめとして、各種Check-inツールなども含めて、友人関係、Contextなど様々な自分自身のDigital Dataが出来上がるというものです。

今年の大きなキーワードは「The Last Milliseconds」。消費者が何かアクションする際の最後の一瞬のことを指しています。この一瞬の判断をいかに成功のために活かすことが出来るか、そこに最高のエクスペリエンスで答えることが出来るか、こういった部分を「The Last Milliseconds」と表現をして今回のSummitの大きなテーマとなりました。

もう1つ大きなテーマとして各セッションで語られていたのは「Digital Readiness」です。「Digital-Self」という顧客を<知る>ことが出き、「The Last Milliseconds」を意識する中で、適切な人に適切なタイミングで、適切なチャネルにアクション出来る準備ができているか?ということです。

モバイルファーストという言葉もすっかりしっくりくるようになりましたが、実際にモバイルの利用が増えた事でより利用するコンテクストが強くなってきています。これを想定してすでに知っているデータを元に、どのようなサービスを展開していくのか、という部分が非常に重要になったといえます。

Old Marketing New Marketing
We Think Wen Know
Static Contents Personalized Contents
Manual Process Automated Process
Sometime Real-Time
Siloed Collaborative

上記はあるセッションでSouth West航空の方が提示した古いマーケティングと新しいマーケティングの対比の図です。この新しいマーケティングの項目に対応していくことこそが、Digital Readinessと言える気がします。

Omni-Channel

Summit中の様々なシーンで利用されたのが Omni-Channelという言葉です。私も細かい違いを知らなかったのですが、感覚的にはMultiというのは有限な複数個であるのに対して、Omniとすると無限に広がるすべてといった感じになるそうです。

いわゆるスマートフォンやPCといったデバイスから、広告やメール、ソーシャルメディアといったことまで様々なチャネルが存在しています。こういったそれぞれのデバイスやチャネルに対して、いかにDigital Readinessであるか?という部分が非常に重要といえます。そして、当たり前のようにこの複数のデバイス、オンライン、オフラインも含めて1人の人として認識できるようにする基盤、さらにアクションにつなげられる基盤が求められることになるわけです。

SiteCatalyst(Adobe Analytics Standard)ではPC、Mobileを1つの訪問者として統合できますが、さらにInsight(Adobe Analytics Premium)を利用し、3rd Party Dataやオフラインデータを統合していき、全体のなかでどうTargeting、Personalizeしていくかがポイントとなってくるわけです。

Customer-Forcused

色々なデータを集めてつなぎ合わせていくことで、自社のサービスのなかでも、よりはっきりとしたDigital-Self像が見えてくるようになってきます。

そしてその為にはデータを統合して1つの中でみていく必要があり、その結果のアクションも統合されたコミュニケーションのなかで表現をされないと本当のエクスペリエンスの実現ができません。

まだ日本では 広告担当、ランディング担当、商品担当、サイト全体担当、システム担当といった形でそれぞれの箇所で最適化をしている事が多くあります。しかし、これだとコミュニケーションがバラバラになってしまう可能性が強いんですよね。

今回はコカ・コーラ社による、Story Tellingといったセッションもありましたが、いかに<人>にフォーカスして、ストーリーのなかに組み込んでいく。ことが重要だと感じました。コカ・コーラ社のセッションの中ではいくつもの過去のCMを流していたのですが、どのCMも社の人間ではなく、People(顧客)が中心のストーリーになっているのが非常に印象的でした。

サイト制作の段階でペルソナモデルを作成される事も多くなってきましたが、データでこれを強化し、ターゲティング、パーソナライズを行いながら本当のコミュニケーションをしていくことがこれから強く求められることをSummitを通して改めて感じました。

Silo

日本では組織の壁と良く言われますが、これをサイロと表現をされるシーンが多くありました。今回のSummitで発表された新しいMarketing Cloudのユーザーインターフェースでは、分析担当者、デザイナー、キャンペーン担当者、CMOといったすべての担当者が、カードというメタファーのやりとりによってコラボレーションが出来るようになりました。

これにより長いチェーンメールの呪縛から解き放たれて、すべてをツール上でコミュニケーションが出来るようになり、アクションまでを1つのプラットフォーム上で出来るようになったと言えます。これによりサイロの壁をなくし、より高い次元でのコミュニケーションが出来るようになったと言えます。

この対応はCreative Cloudとのコラボレーションも実現可能としており、制作からDAM(Digital Asset Management)への追加、そこからのターゲティングの設定までがすべてiPadで実演されました。(モバイルファーストとのことで、今回発表された新しいUIはTabletですべてがコントロール出来るようになっています)

分析>仮説>戦略>クリエイティブ制作>ターゲティング実施のフローを1つのプラットフォームで出来るわけで、このフローを一気通貫に素早く出来るのは非常に大きいと感じます。

まとめ

最後が少し宣伝のようになってしまいましたが、この部分、去年のKeynoteでCTOのKevin LynchがFuture Demo として実施したものがそのまま実現された形になったんですよね。そういう事もありこの部分非常に興奮をしてしまいまして、まさらにCreativeとScienceの融合が実現したんだなぁと感じました。

基盤は揃った、あとはクライアントがどう使いこなせるか?

Summitにサイバーエージェントの小川卓さんがいらしていたのですが、小川さんがおしゃっていた言葉です。今回のSummmitで一番印象に残った言葉でした。

日本ではまだまだウェブ解析だけが先行してしまい、それをいかにマーケティングに活用していくのか、ターゲティングの方法などは語られることがまだ少ないと言えます。

しかしながら、蓄積されたデータをいかに活用していくのか、本来のマーケティングやコミュニケーションにいかに活用できるのか、そこに対して改めて真摯に取り組んでいく必要があることを改めて認識をさせられたイベントでした。

#時間をみつけて細かいセッションの話も触れるエントリを書いていきたいと思います。

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