改善のための分析3つのステップ

以前にポストした「分析レポートは4つに分けて考える。」というエントリでは解析ツールの利用を「体重測定」「効果測定」「課題分析」「深堀分析」という4つの視点で整理をしました。

今回はその視点の「課題分析」「深堀り分析」の2つの部分によりフォーカスして、分析を通してサイトの改善につなげる際のポイントとして整理をしてみました。

0:目的設定

今回は大きく3つのステップに分けてみることで整理をしました。そしてこれらのステップを行うに前にまず「目的」を設定し、それらに対して行なっていきます。この目的はある程度具体化さらたものが望ましいでしょう。

例えば「サイトの回遊性を高めたい」でも分析を開始することは可能ですが、目的が大きすぎ、少し分析の方向性がぶれてしまう可能性があります。これに対して「サイトの回遊性向上のために、フリーワード検索の利用向上をしたい」であればより分析の目的を明確にすることができます。

  1. 状況・ギャップを発見する分析
  2. 改善案に昇華させる分析
  3. 効果を試算する分析

1:状況・ギャップを発見する分析

このフェーズでは目的で設定した箇所の状況の把握とギャップの発見を行なっていきます。状況の把握では、分析対象がどの程度なのかを知ります。

先ほどのフリーワード検索であれば、フリーワード検索の利用状況やその検索内容などを知ることが状況の把握となります。ギャップについては以前に記述した「最適化のために重要なたった1つのこと」で触れているギャップの発見です。

これが結構難しい部分なのですが、何かと比較をして仮説につながる大きな違いを見つけることです。ページとページ、セクションとセクション、サイトとサイト、セグメントとセグメントなど色々な切り口があります。

先ほどのフリーワード検索の場合であれば、商品の詳細ページを見つけるための他の手段、メニュー、特集といった箇所と比較をしてパフォーマンスなどを比較するのが1つの手段になると思います。また、検索されたワードを比較することで見えてくる部分があると思います。

2:改善案に昇華させる分析

次のステップとして改善案を作っていくための分析を行なっていきます。ここが一番の肝になる部分です。前のステップで分析した部分から仮説を導きだしていくわけです。

改めて目的として設定している部分に対して、そのままその戦略を実施すべきなのか、そうではない判断をすべきなのかも含めてここで整理をします。

例えば前述のサイト内検索であれば、サイト内検索をより利用してもらうべきなのか、サイト内検索のパフォーマンスをアップすべきなのか、サイト内検索は縮小方向にするのかも検討しながら分析を行なっていくわけです。

分析の結果、サイト内検索のコンバージョンへの貢献は高いものの、それほど利用されていない(当初の目的通り)のであれば、利用する動線を強化する方法を検討するための分析を行います。

サイト内のどこから利用されることが多いのか、どのようなシチュエーションの時に利用されることが多いのか、そういったものを想像しながら分析をしていくわけです。ここで必要に応じてユーザーインタビューや外部評価などを使っても良いと思います。

分析から得られるもののほとんどは「解決策」ではありません。課題点とその改善案のための糸口となる情報です。そのためStep1、Step2といった分析を通して、どのように改善するかを頭に描いていくわけです。

改善仮説を考えるために有効な考えは「どこから来て」「何をして」「どこに行くのか(行ったのか)」を考えながら分析を進めていくことです。そして、その中で「パフォーマンス」なのか「動線(トラフィック)」のどちらが課題なのかを検討していくわけです。

3:効果を試算する分析

ステップ2で組み立てた改善案に対してこれは実際に実施をするかどうかを判断する1つの方法として効果を試算する方法があります。ただ、これは必ず必要なステップというわけではなく、場合によって行うステップです。

効果の試算はあくまで実施するかどうかの目処を決定するための補助です。そのため取得出来るデータに基づきデータの試算をします。体よく言えば「フェルミ推定」個人的には前職の上司の言葉を借りて「緻密などんぶり勘定」です。

つまり、知り得る数字のみを利用しながら期待値を計算していくわけです。これらを計算するにあたっては先ほどのパフォーマンスの改善なのか、トラフィックの改善に分けると考えやすくなります。

パフォーマンスの改善の場合は

(現状のトラフィック数×改善したCVR)ー現状のCV数=改善期待値

として導きだすことが可能です。

トラフィックの改善の場合は

(改善したトラフィック数ー現状のトラフィック数)×CVR=改善期待値

といった感じで導き出します。

実際にはこれをベースにして分析によって抽出できるデータを利用しながら細かく組み立てを行います。例えばトラフィック改善での計算の場合、「改善したトラフィック数」を導き出すためには、さらにその元となるデータを辿ります。

改善施策として、既にある入口を何かしらの方法で誘導を増やす場合、遷移元のターゲットとなるページからの流入数を確認します。これが流入元のトラフィックに対してどの程度改善できそうかを計算し、結果として「改善したトラフィック数」を算出するわけです。

まぁ、色々とゴニョゴニョする方法があるのですがそれはまた別で記載したいと思います。

まとめ

効果の試算については、あくまで参考でしかないのであくまで1判断材料としてみて頂くのが良いです。例えばトラフィック数が増えれば、そこのCVRは少し下がったりする場合もあります。ただ、それを考慮し続けると果てしない旅の始まりになってしまいますので、ある程度の割り切りの中で作っておく必要があります。

かなり長い文章になりましたが、基本的にこれらのステップと分析の目的とを組み合わせていくことで、分析アプローチの整理が出来るんじゃないかなぁと思ってます。

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