セグメントの特徴を捉える

先日実施したセミナーでお話したセグメントの特徴を捉える分析についてちょっと触れておきたいと思います。ターゲティングを実施していくうえでは、出来るだけ大きなセグメントで出来るだけ大きな差異を見つけることが重要です。その為にはセグメントの重なり具合とセグメント特徴を捉えることが重要になるわけです。

2つのセグメントの違いを見つけ出すこと

ターゲティングとは、異なるセグメント(訪問者)に対して、違うメッセージを伝え、コミュニケーションをすることです。つまりターゲティングをするセグメントは、それ以外のセグメントと異なるメッセージを伝えるべき理由があり、だからこそターゲティングを実施するわけです。

逆にセグメントに違いがないのであれば、それはターゲティングを実施すべきではない内容ということになります。出し分けは少なくともクリエイティブの用意など手間がかかります。手間だけかかるのであれば、そんなことをわざわざ実施する必要もないわけです。
つまり、いかに伝えたいメッセージに合わせたセグメントが存在するのかを見つけることが重要といえます。

脱線となりますが、属性はターゲティングとして効きにくい傾向があります。特に性別や年齢といったものよりも、直近の具体的な行動の方がよっぽど効果があると言えます。仮に26歳女性とセグメントを切った場合、ダレノガレ明美とブルゾンちえみは同じセグメントで、53歳男性とすれば出川哲朗と唐沢寿明は同じセグメントです。もちろん商材によってはセグメントを分けないよりも分けた方が良いこともあるでしょう。

属性といっても、会員ランクの場合は、ライフスタイルやそのサービスへのエンゲージメントといった部分が反映されているので、単純な属性などもよりも効く可能性は高いです。

さて、いずれにしろこのセグメントをいかに大きな単位で切り出すかも重要になるわけです。もちろん細かくやっていくことも出来ますが、それだと手間ばかりかかってしまうわけです。なので、もちろん必要なセグメント数に分けるのはかまわないですが、出来るだけ大きな単位になるようにこころがけていく必要があるわけです。

セグメントの特徴を知る

さて、セグメントを分けるにあたってそのセグメントの特徴を知っておくことが重要です。好みやなんだとあるわけですが、まぁ、このブログなのでWeb解析を利用した方法を整理しておきましょう。分析によりセグメントの特徴を理解することで、そのセグメントの背景を想像することができ、ターゲティングを実施していくうえでのヒントとなるわけです。

今回の方法は簡単な炙り出しのような分析で、セグメントごとに閲覧されているコンテンツから、2つのセグメントの特徴的な閲覧行動を見つけ出す方法です。散布図を使うだけの非常に簡単な分析で、この手法だけでもセグメントに特徴に目途をつけることが出来るようになります。

分析のステップは下記のとおり

  1. 2つのセグメントのコンテンツ別の閲覧数レポートを表示
  2. 散布図を使いX軸とY軸にそれぞれのセグメントを設定
  3. 単回帰直線を引く(線形近似)
  4. 図を見ながらTOPなど明らかに大きいトラフィックのものは除外

作業としてこれだけです。これで特徴を捉えるための分析設定は終了です。さて見方です。これはステップの途中で引いている単回帰直線から離れたコンテンツを見つけるだけです。これがどちらのセグメントの軸に寄っているかで、そのセグメントに特徴的な閲覧傾向があるコンテンツを見て良いでしょう。簡単です。

通常、2つのセグメントを比較する場合、そのセグメントのボリュームはまちまちです。そのため、PVやVisitを比較だけをしようとしてしまうとなんだか分からないものになってしまいます。

しかし、この手法で描いたグラフの場合は縦と横の軸はボリュームが違えど、ボリュームは問題になりません。2つのセグメントの閲覧傾向に差異がない場合、単回帰直線上にプロットされることになるためです。これを基準にしてしまえばボリュームの違いを意識せずに先ほどの手法で見てみれば良いようになっています。

そして、サイトの閲覧しているコンテンツに差異があるセグメントの場合、単回帰直線から離れるコンテンツが現れることがあります。これは、セグメントAは非常に多く閲覧しているのに、セグメントBはそれほど閲覧していないコンテンツであるといった場合にそれが表示されることになるわけです。

こんなところから、セグメントに差異があるものを抽出しコンテンツをあぶり出すことで、そのセグメントの特徴を検討するわけです。この方法はあくまで簡易の方法ではありますが、特徴としてあぶり出すには十分活用できるものです。

実際にやってみた

実際にやってみたサンプルを簡単ながら出しておきたいと思います。このブログのある一定の期間で2つのセグメントを比較しました。1つは比較的検索で流入が多い「ハイレベルサイトマップの作り方」を参照したセグメント、もう1つはそれ以外の訪問者のセグメントです。

下記の図ではX軸(横)が「ハイレベルサイトマップセグメント」でY軸(縦)が「それ以外セグメント」です。(「ハイレベルサイトマップ」の閲覧は図から大きくはみ出てしまうので、これだけ見やすいように削ってます)

いくつか気になるデータにだけタイトルを入れてみました。これを見て頂くと非常にわかりやすく、ハイレベルサイトマップ系セグメントの方は分析に必要となりそうな考え方を整理している「コンバージョン分類」や「サイト構造」についての閲覧があるのがわかります。これに対し「メガドロップダウン」の記事はあまり閲覧していないというのが見えてきます。こっからどんな人がどんなモチベーションで来ているかを想像しやすくなりますよね。

さらにはこのグラフから閲覧傾向が強く出ている「メガドロップダウンメニューって?」を閲覧したセグメントでまた似た分析をしてみると面白いかもしれません。

ということでこの閲覧セグメントを作って先ほどのハイレベルサイトマップセグメントとの重複もついでに見てみました。

これでみるとほぼ重なりがないので、これらのセグメントはニーズも違い、対象も違うのでターゲティングをする価値があると見て施策を進めても良いかと考えられるわけです。ターゲティングだけではなく、メディアであれば今後の記事プランなどの検討にも関わってくるデータですね。

まとめ

ターゲティングを実施することが当たり前のようになってきました。その一方でどうセグメントを分けるかは、まだまだ手探りな方も多いようです。今回はターゲティングセグメントの簡単な考え方と、その特徴の捉え方について簡単に触れてみました。

こういったセグメント分析は、いわゆるサイトの課題分析とは違い、セグメントの特徴を想像していくといった面白さがあるかなと持っています。まだ、いくつか手法はあるので、そのうち整理してみたいと思います。

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