DESIGN IT! 2日目
昨日参加をしてきた DESIGN IT! の2日目です。(DESIGN IT! 1日目)
Case Study in Interaction Design / Dan Saffer氏
NYの券売機、Office2007の事例を触れながらの Interaction Designの話でした(実際にDesignを行ったのはa n t e n n a)
NYの地下鉄の券売機を作る際に、いくつかの要件があったとのこと。
- 様々な人(老若男女、教育レベルの違い)
- 英語が出来ない人もいる。
- 堅牢なものをしておく必要がある。
- 障害者でも使えるようにする。
さらに、NY市からの要望で「タッチスクリーン」にしたいというものがあった。当初デザイナーも銀行のカードはほとんどの人が持っているだろうし、問題ないとしていた。
プロジェクトの途中で、リサーチをしたところ、実際に地下鉄の利用者の4割は銀行のカードを持っていないことがわかった。ということで、要件の中に「タッチスクリーンを利用することの説明」も入れることになった。
質問の中でもあったのですが、タッチスクリーンの利用は4割が使ったことが無いとわかった時点でやめた方が良かったのかもしれませんが、プロジェクト途中であったこと、予算の問題などで続行されたそうです。
昨日の話の中で、Interaction Designとはビジネスニーズとユーザーニーズの両立というのがありましたが、まさにその例の1つなのかもしれません。
また、もう1つのOfficeの事例も、非常に興味深いものでした。これはOffice2007のUIが実現するまでの試行錯誤についてです。
OfficeのUIは15年間ほとんど変わらないもで、当初は良かったものの、機能の拡張によってスケーラビリティの問題を抱えてしまったそうです(肥満児)。
これを解決するための試行錯誤が2003の中でもあった。ただし、Micorosoftのデザイナーはミステリーとパズルを取り違えてしまったとのこと。
パズルはピースを1つ加えることで解決するが、ミステリーは情報が多く、その中から解決をしていかなければならない。とのこと。
2003はタスクバーを追加するなどでパズル的解決をしてしまったために、根本的な解決にはならなかった。
最終的にMicrosoftはリサーチ、ユーザーインタビューなど様々な方法でユーザーの声を聞くようにした。また、その中ではソフトウェアの利用状況を個人情報にひっかからないギリギリで取得、分析を行った。
Using data wisely
- Data + Human = Design
- Desirable features with low usage numbers
- Frequently-used features that are hard to get to
Dan Saffer
データを賢く利用すること。これは非常に面白いものでした。Desginを行うにあたって、分析した結果だけでは駄目で、そこに人という考えを盛り込むこと。逆に人だけでも駄目なんですよね。
アクセス解析を行うにあたっても、やっぱり同じことが言えると思います。何かの数字だけを見て判断をせずに、ものを確認して(ユーザーの立場にたって)初めて判断が出来るんだと思ってます。
また、Dan Saffer氏が言われていた、分析をするにあたってコンセプトを持って行うこと。これも大事です。コンセプトを持っていない分析を行うと、数字に振り回されたり、分析のための分析をしてしてしまってなんだかよくわからなくなってしまったり。。
また、「よく使われているのに、使うのに時間がかかっていえる機能」や「要望は強いのだけど利用されていない機能」を掘り出すこともアクセス解析の利用で出来る部分もあります。
個人的にはOffice2007のUIはかなり便利になったと思うのですが、やはりそれまで使っていたものと大きく変わってしまったがために、迷う部分がいまだにあったりします。
ということで、15年も続いたUIを変更することは「慣れた」人をどう扱うかというのも大きな問題なんだと思います。
デザイン主導のシステム開発/上野 学氏
Design driven で行っていく開発とは何か?という部分についてでした。この中で7つのポイントの提示がありました。
- まずデザインコンセプト
- すぐにユーザーインターフェース
- デザイン仕様の検討は少人数で
- 機能や画面を減らす
- ユーザーを教育しない
- 常に動く状態にする(Agile)
- デザインへのアクセス経路を確保する(Waterfall)
4番の「機能やデザインを減らす」ということ。これはそうなんだけど…どうも「機能追加はサービス向上である」というところをどう崩していくかという部分が難しいですよね。
今までの経験からいくとコンセプトが決まっていたとしても、機能追加の方が勝ってしまう場合もあったりします。力不足と言われればそれまでなのですが…
また、7番については設計時にデザインが入るのではなく、要件定義からデザインが必要なること、さらには全ての段階でデザインが入ることが提唱されています。
Tap is the New Click/Dan Saffer氏
ジェスチャーを色々な視点で分解しての説明でした。ここまでジェスチャーは分解できるのかぁという部分が非常に勉強になりました。
質問であがっていた「ジェスチャーの他言語化が必要か?」というものはDan Saffer氏の回答は「必要なものもあれば、共通化できるものもあるだろう」ということでした。
なんとなく手話が近いのだろうなぁと思いつつ、世界ジェスチャー標準化委員会が出来て、実際に決めているミーティングは滑稽だろうなぁと勝手に想像。
まとめ
2日間非常に刺激的でした。新たな視点が取れたような気がするので、もう少し自分の中で熟成をさせて応用したいところですね。
会場で配られた インタラクションデザインの教科書 は、かなり面白そうなので読み込んでみようと思います。
しかし、会場の挙手でiPhone持っている人数よりWiiを持っている人数の方が少ない会場だったのは、びっくりでした。
あ、あと気になったのは新しい、リッチな部分の話が多かったのですが、CUIもまだまだ現役だと思ってます。
それこそ空港などでは相変わらず使われますからね。結局、コマンドラインで対応する方が速度が断然違う。ただ、これを使いこなすためには教育(学習)も必要なので、その辺をどう考えているか聞けばよかった…