なぜ日本にテストの文化が根付かないか?

Mannequins in Lima By quinetウェブサイトで実施されるテストの回数やアプローチなどを日本とUSで比較をすると、やはり少し日本の方が遅れている感があります。感覚的には今の日本でのWeb解析の盛り上がりが、USにおけるウェブサイトでのテストの状況といった感じです。

ちなみにWebサイトでのテストに実施については、USのある調査によると平均で4〜5回/月に実施されているところが最も多いというレポートもあったりします。日本は実際にどうでしょうか?恐らくそこまで<テスト>といった視点で実施していることは少ないのではないでしょうか?

そこで「なぜ日本においてテストの文化が根付いていかないのか?」について少しつらつらと考えながら書きだしてみたいと思います。ただ、これはあくまで私見なのでご意見、ご要望なども頂きたい感じです。

ザーッと書き出しますが、テストを実施する際に、関わることが必須の「制作者」「分析担当」「ビジネス担当者」の3つの視点で考えてみます。

運用に関わりにくい制作担当

テストを実施していくにあたって、クリエイティブとの関係は切っても切り離せません。どういうパターンをテストしていくの?といった場合には、クリエイティブで実現してもらうことがほとんどです。

しかしながら、日本の制作現場において、社内で制作している事は少なく、外部に委託しているために制作したものを納品、ローンチするまでが仕事であることが多く、運用にがっつりと制作者、特に最初に作った制作者が関わることはあまり多くありません。

つまり、制作時に組み立てられたペルソナ、動線、メッセージといった<仮説>が検証されることなく、なんとなく運用で少しづつサイトの形を変えていくことが多くなっているのではないかと。

IA(インフォメーションアーキテクチャ)の話などでも、本来はフィードバックプロセスというのがあるそうなんですが、日本でこの話がされることが少ないのも上記のような背景からかもしれません。

もちろん、制作の方が運用に関わりテストの事例を作ってくださっている場合もあります。しかし、公開されているような事例をみていると、どうしてもデザイナー主導で行われているテストのために色や見た目のデザインといったところから離れられない事例が多くあります。

もちろんこれはこれで、悪いわけではなく、結果として効果があがればすごく良いことだと思います。ただ、どうしても制作サイドだけが実施したテストの場合、ユーザーインターフェイスまわりがフォーカスされ、マーケティングやターゲティングを踏まえたテストの多様性、ビジネスインパクトの強さといった部分が薄れてしまっているようにも感じます。

マーケティングと制作を知らない分析担当

ここ数年のWeb解析の盛り上がりもあり、解析ツールを利用して分析を行うのをメインとされる方も非常に増え、勉強会も多く実施されるようにもなってきました。しかし、こういった勉強会であまり語られないのがテストなんですよね。

なぜ、語られることが少ないのか? これは色々と難しい部分もあるかと思いつつ、ここでは大きく2つのポイントについて考えてみたいと思います。1つは単純に事例が少ないこと、もう1つは解析担当者が最適化/テストというところに踏み込めていないことです。

前者はやらないと増えないからしょうがない部分もあると思っているのですが、後者がなかなかややこしい部分だと思っています。

現状、解析担当者のレポートでは分析によって「このページへの流入が多いですね」「ここの直帰率が高いですね」といったおおよその問題点の指摘”まで“しか出来ていないことが多いのではないでしょうか?つまり、具体的な改善施策には至れていないケースが多いと感じています。

改善施策まで出すような分析を行う場合、分析と仮説は一見シーケンスな流れに見えますが、実際は行ったり来たりです。もう、反復横跳びのごとく。

実際は「こういう数字が出たってことは、こういう風に感じている人が多いのかな?ってことは、ここのメッセージが伝わってないのかもしれない、いや、こっちのUIが課題か?」って考えながら分析してるんです。

つまり、より具体的な改善施策に結びつけるための分析をしていくには、ある程度、このメッセージは伝わってないかもな、とか、こういうUIは少し分かりづらいかもな、とかそういう判断が少し出来る必要があったりします。

完璧である必要はないんですがゼロだと難しい。そうなると、普段からUIに興味を持つ、普段からマーケティングに興味をもつ、といったことか、過去にそういう仕事をしていた、といったことが必要になるわけです。

そうすると出来る人の母集団が意外と小さくなってしまうんですよね。結果としてやっぱりレポートをしている、もしくは、課題発見までで終わってしまっていることが多く結果としてテストにつながってないんじゃないかと感じています。

ビジネス担当者

実際にビジネス担当者の方は、テストにおいてキーマンになります。ビジネス的に価値がありそうだからテストするわけなので。ビジネス担当者に一番求められることは、<ゴールへの推進力>だと思ってます。

以前に比べてビジネス担当者の方が、Web解析ツールで分析をすることも多くなってきたように感じます。実はこのパターンがうまくいくと、一番テストが回るんじゃないかと思ってるわけなんですが、Web解析ツールを勉強しようと思ってる方は<ゴールへの推進力>があるわけです。そして必要なリソースを確保し、テストするわけです。

いずれにしろ、全く課題がないわけではないんですが、なかなか難しいのが、日本においての課題として1つ考えられるのは、担当者がすぐに異動になってしまうことです。これはある一定以上の規模を持つ企業の場合は多々起きます。

Specialistを育てるよりも、Generalistを育てることが日本での出世への道ですからね。しかしながら、これがまた難しさを産んでしまっているわけです。

ビジネス担当者がテストに関わっていく際、ある程度のWebの知識や運用の経験が必要になってきます。しかし、この「異動」という文化によって、「知識がついてきた時に異動…」という微妙なことが繰り返されたりしまうわけです。まぁ、この文化を変えるのも難しいんですけどね。

どうしていくべきか?を考える

それぞれの立場で色々あるとは思うのですが、まず、1回やってみて頂きたいのは、上記の立場をもった方々が集まり、サイトに関する課題などのディスカッションをしてみることです。

社内であれば、それ程実現も難しくないと思いますし、社外が含まれている場合はビジネス担当者の方が場を作って頂くことになると思います。

私が関わっているクライアントでも、テストが実施できているクライアントはコアチームを作り、この体制が作れているところが多く案を作り、テストを実施ができています。

また、個人で各スキルを学んでいくというのももちろんありだと思います。制作者の方であれば、解析系やWebマーケティングの勉強会に足をのばして頂くのも1つだと思います。逆に解析の方であれば、デザイナー系、とくにIAといった部分などに足をのばして頂くのが良いかと。

ということでなぜテスト文化が根付かないのかを少し考えてみました。

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