デジタルマーケティングの2013年振り返る:1

いきなり私事で恐縮ですが、今月、勤続年数が一区切りがついたので、会社にご褒美としてお休みを頂いて1ヶ月お休み頂いていたりします。時間があるので、色々な考え事や本を読んだりしているのですが、年末ですし、折角なので自分の中でトレンドになっているいくつかのキーワードを振り返りながら徒然と書いてみようかと思います。

デジタルマーケティング

まずはデジタルマーケティングについてです。デジタルマーケティングってそもそも何?という感じですが、定義になると、それだけでもかなり色々な方とディスカッションが出来そうなのですが、自分は「デジタルデータをベースとしたマーケティング」と捉えています。

そしてこのデジタルマーケティングによって実現できることは「Right Message to Right Person at Right Time」というのが一番しっくりきています。このメッセージ自体はマーケティングとして昔から言われていることなのですが、それがやっと出来るようになってきているというのが現状感じているところです。

今年の6月ごろにグロービス経営大学院の山口英彦教授と対談をさせて頂いたのですが、その際にも実はマーケティングが変わるわけではなく、今までも実施すべきだが実現できていなかった事が、出来るようになったという話で盛り上がりました。まさにこれが「Right Message to Right Person at Right Time」だとも言えます。(経営の重要課題は変わらない-今、マーケティングの最前線で何が起きているのか?-

さて、この「Right Message to Right Person at Right Time」ですが、ここには2つのキーワードが絡んでいると感じています。1つがDigital-Selfという単語で、もう1つがTechnologyです。

Digital-Selfとは去年のAdobe Digital Marketing SummitのKeynoteであがった単語なのですが、ソーシャル活動での発言やいいね!、チェックインなどを始め、ZMOTなど消費活動前のウェブでの検索など、当たり前のように個人の活動がデジタルデータになったことで、デジタルデータとしての自分が出来上がったことを表現した単語になります。この状況はスマートフォンの流行などもあり、ここ数年でDigital-Self化はかなり進んだと考えられます。

さて、これに対してさらにTechnologyの話が入ってくるわけです。デジタルデータを貯めているだけではただのゴミです。これをいかに活用するかが重要なわけですが、ここ最近のTechnologyの進化によって、その人の状況、状況に応じて瞬時にその人に合った情報を表示することが容易になりました。

そしてこの両方がちょうどバランスが取れるようになったことで、最初に触れた「Right Message to Right Person at Right Time」が実現できるようになってきていると感じています。

カスタマージャーニー

今年に入り非常に多くの場所で聞くようになったのが、このカスタマージャーニーですね。クロスデバイスでの計測がメジャーになった事で、言われることが多くなったように感じます。

自分はクロスデバイス計測での分析やターゲティング戦略まわりで、このカスタマージャーニー的な部分に関わることが多くあった1年でした。

なぜターゲティング戦略がカスタマージャーニー?と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、訪問者の状況に合せてメッセージを変えていくことが出来るターゲティングこそ、カスタマージャーニーを考えた上で実施できるアクションの1つです。

このターゲティングもある程度実施をしているクライアントでは、個別のターゲティングから顧客を成長させるターゲティングを組立て始めることになります。これがターゲティング戦略なのですが、今年は急にこの案件が増えました。そしてこの戦略を組み立てる中で、いわゆるカスタマージャーニーをクロスデバイスなどを通して整理をしていきます。

カスタマージャーニーをベースとした場合、デバイス、トリプルメディアを通して一貫したコミュニケーションを実現する事が望ましく、来年から再来年にかけてはこの辺りがホットになってくる気がしています。

そういえばコマースサイトなどでは、スマートフォンで検索をし、購入はPCで…という話などもよく言われますが、実際にクロスデバイス計測をするとまさにスマートフォンの広告のコンバージョンがPCに付くこともあり、クロスデバイスによる広告効果の計測は、また1つアトリビューションを複雑化させていきそうですね。

デジタルガバナンス

デジタルマーケティングを実現するには、製品を導入するだけではなかなか進みません。私の所属している組織ではL3PSと言っているのですが、デジタルマーケティングを推進していくにあたり、コアとなる製品(Product/Technorogy)、人(People)、プロセス(Process)の3つの軸にリーダーシップ(Leadership)、戦略(Strategy)のそれぞれが整備されていく事が重要です。

昨今、ビッグデータという単語もよく聞かれるようになりましたが、そのほとんどが導入の話や分析までの話です。しかし実際には分析を行い、その先のアクションを起こしてこそ初めて価値があると言えます。蓄積(Accumulation)->分析(Analysis)に終わらず実行(Action)の3つのAを回してくことが重要です。さらにはそこから新たなデータを得ることで利用するデータを深化させて行く事が出来ます。

このアクションを1回限りではなく定常的に取れるようにする際には、先ほどのL3PSのそれぞれをきちんと設定をしていく必要があります。先ほどのPeopleやProcessを整理するのにあたり組織体制やレポーティング内容やタイミング、フローなど様々な視点において整理をしていく必要があり、これをデジタルガバナンスと呼んでいます。

このデジタルガバナンスの考え方自体は数年前からあったのですが、特に今年から来年にかけてこの必要性は非常に重要になると考えています。これはデジタルマーケティングを推進していくにあたり、トリプルメディアを別々の部署や担当者が運用するのではなく、一貫した戦略のものとに顧客との全てのタッチポイントを最適なものにしていく必要があるためです。

その為には1つのチームとしてこれらをハンドリングし、まさにガバナンスを効かせていく必要が出てくるような気がしています。

パートナーとの関わり

様々なクライアントの方とお話をさせて頂く中で体制のお話を聞いていくと、先ほども触れた通りトリプルメディア毎に別々の部署や担当者で運用されている事がほとんどです。

このような体制の中でそれぞれ別のパートナーを利用している事が多くあります。広告はA社、サイトの運営はB社、ソーシャルの運用はC社といった具合です。特定のキャンペーンを実施する場合もD社にお願いをして、D社が実施するのはメディア展開とランディングまで…といった感じですです。

これまでのマーケティング活動において、このような体制自体は特におかしい事ではなく、それぞれの専門家が実施する施策の中で上手く回っている(ように見えた?)ものだったと思います。

しかしながら、改めてカスタマージャーニーやらその中でのクロスデバイスでのターゲティングなどを実現していく中では、それぞれのメディアは一貫したコミュニケーションを行なっていく事が求められてきます。

先ほども触れた1つのチームでの体制です。この中でデジタルマーケティングは同じ戦略の基に運用される必要があります。USではCMO(最高マーケティング責任者)の下にこのようなハンドリングを行う組織も増えてきています。

一方で日本に置き換えた場合、まだまだ、スペシャリストの育成よりもジェネラリストの育成傾向の方が強くあります。デジタルマーケティングの推進にはある程度の専門性が必要なため、なかなか社内にこのような組織を作りにくい傾向があるのが現状と言えます。とはいえこのようなスペシャリストの必要性に気づき、そういった対応を始めている企業もあります。

このような事から、今後のデジタルマーケティングに関わる組織体制は大きく2つの方向に分かれて行く感じがしています。1つが特定のパートナーに委託しコントロールをお願いする方法、もう1つが社内にコントロールする部門を持つ方法です。

Degital Marketing Structure

前者はあくまでジェネラリストの組織文化を残したまま対応していくもので、後者は社内でスペシャリストを育成しながら対応していく方法です。これらの体制を作るためにクライアント側はどのように人材育成を考えていくか、パートナー選定をしていくかといった事がこれから考えていく事になりそうです。

とりあえず…

まだまだあるのですが、長くなりすぎてしまったので、いったんここで切りたいと思います。また、後半も別途更新してアップしたいと思います。

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