Webアクセス解析の疑問に答える25のTIPS その1

Read先の内容が気になってしまったので、同じ質疑応答をここでやってみようかと。ただ25って結構多くて息切れしてしまったので、本日は途中まで。

1. 複数のアクセス解析ツールをいれた場合、ツールによって数に違いがあるのはなぜか

理由としては大きく3つあるかなぁと思ってます。

  1. 取得方法の違い
  2. Cookie
  3. 取得場所の違い

「取得方法の違い」はログ型、パケット型、タグ型の違いによるもので、キャッシュされたコンテンツの場合はログ型、パケット型が取得出来なかったり、逆に、タグ型の場合はきちんと実装していなかったり、JavaScriptがうまく起動できていない場合などに取得が出来なかったりします。

もちろんツールごとの計測の違いもあったりするので、同じ取得方式だったとしてもずれる場合も出てきます。

「Cookie」はファーストパーティーCookieとサードパーティCookieの違いによって出てくる場合があります。ファーストパーティーCookieは解析をしているサイトと同じドメインで設定されるCookieのことです。これに対してサードパーティCookieは別のドメインで設定されるCookieのことでASPサービスで利用されることが多いです。

サードパーティCookieはブラウザのセキュリティレベルを高くしていたりすると受け入れてもらえなかったり、ものによってはウィルスソフトでウィルス扱いされてしまうことがあります。

アクセス解析ツールはセッションの計測をCookieで行っていることがほとんどなので、セッションが絡むような指標の場合はこれらの設定によって差異が出てきてしまう場合もあるわけです。

「取得場所の違い」これは広告代理店からのクリックレポートと自社のサイトの流入レポートなどに違いがあったりします。これはクリックしたものの、自社のサイトにリクエストを投げる、もしくは、表示をする前に離脱をしてしまった場合などです。こういった場合にも差異が出てくる。

ということで、様々な要因が複雑に絡み合って差異を生み出してるんですよね。ちなみにツール間の差異を調査したレポートがありますので、ご興味のある方はどうぞ。( 2007 Web Analytics Shootout – Interim Report )

2. 外部にあるサイトのアクセス数は調べられますか?

外部データの部分はあまり詳しくないのですが、有用なデータとなると Netratings になってしまうと思います。確かに AlexaPathtraq などもデータが取れるのですが、サンプリングするセグメントが偏りすぎてしまってます。

その点で言えば Netratings はテレビの視聴率調査と同じように分布を意識して取得しているデータなので、こちらの方が有用性があるのではないかと。

3. アクセス解析をすると、どんな個人情報が取得できるのか。アクセス元の場所の特定はどの程度できる?

いわゆる個人情報保護法に言われるような個人情報のデータは取得が出来ないです。取得できるものはアクセス時の基本情報です。

最近ではIPアドレスを逆引きできるサービスを提供している会社もあるので、ある程度の地域などの推測も出来たりします。ただし、プロバイダのIPなので現状は6~7割程度が良いところみたいです。

会社の場合は、会社で契約しているIPがわかる場合もあるのでそういった特定は出来てしまうかと。もちろんこれもプロバイダを介していたらわからないです。

また、Cookieに会員番号などを仕込んでおく事で、あとで会員情報と結びつけることが出来ます。そうすると会員情報に結びついた個人情報で集計をすることは可能です。これらのデータは問い合わせ対応やリターゲティングのデータとして利用されることがほとんどかと。

4. アクセス解析ツールにある「滞在時間」はどうやって計っているのか?

現状のほとんどのツールの場合は、セッションにおける表示したページから次のページを表示するまでの差で取っています。

なので、セッションの最後になるページは取得できていないのがほとんどです。ちなみに直帰したセッションについても計測は出来ていません。

ツールによっては平均滞在時間を表示するものがありますが、これも直帰などのセッションを含んだ計測にするか、含まない計算にするかで変わってきます。(参考:Analytics 日本版 公式ブログ: 平均サイト滞在時間の計算方法を変更しました

まぁ、平均滞在時間はその正確な値がどうこうということではなく、中期的に見た中での変化をみていくものだと思いますので、それほど正確性も必要ないかと思います(同じメッシュのままなら問題なし)。

5. アクセス解析にかけた費用って、元が取れますか?

基本的にアクセス解析取得できる数値は、「訪問者が行動した結果」でしかありません。つまり、その数字の中からどのようにアクションをとっていくかによって効果がかわってきます。

つまり、数字やツールをいかに使いこなせるかによって大きく変わってくると思ってます。もちろん無料のGoogle Analyticsでも分析は出来ますが、さらにリターゲティングなどを行っていくにはやはり有料のツールの方が有用になってくるんだと思います。

6. アクセス解析ツールの業界シェアを教えてほしい

詳しいレポートを見た事があまり無いのですが、いくつか参考になるものを。immeria :: an immersion in web analyticsで発表されたもので、WASPというツールを利用して計測をしたものです。(Web Analytics vendors market shares :: immeria :: web analytics :: Stephane Hamel)

これを見ると対象を7788サイトを対象として計測した結果、Google Analyticsが59%のシェアを持っていて、次がSite Catalystの19%となっています。

この調査結果の見解としてはトラフィックがサイトについてはSite Catalystがほとんどであったとされています。

Google Analyticsについては無料のため、個人ブログなどにも導入されているためシェアは大きいのでしょうね。

ちなみに、上記以外の自分が良く聞くツールを列挙しておくとRtmetrics、WebTrendsVisionalistac cruiserあたりは良く耳にします(あくまで主観)。

7. SEO の状況が確認できるアクセス解析ツールはあるか。自動的にページを改善できるといいのだが…

個人的にSEOまわりの評価はあまり詳しくないのですが、Rtmetrics、Visonalist、ad insightなどはそのあたりが強いようです。値段ははるようですが、OmnitureがSiteCatalystとあわせて出しているソリューションにあるSearchCenterはコンバージョン率などによって自動入札などもしれくれるようです。

SEOを気にした場合のページの改善を自動的に行うのは、ランディングページの改善ポイントを考えると難しいですが、ある程度のルールをもってコンテンツの一部を差し替えるというのは実現しています。

1つにLPOツール呼ばれるものがそれにあたります。ただ、日本のソリューションは基本的にルールベースだったりもするので、自動的に改善というわけにはいかないですね。まだ、日本未上陸のものですが Omniture の Test & Target の TouchClarity というソリューションは AI ベースで自動的に学習/改善を行っていくようです。

あとはSiteCatalystなど一部のソリューションではCMSとも連携が出来るので、コンバージョンなどをトリガーにしてコンテンツを差し替えることが出来るものもあります。

ということで、近しいものはあるものの、SEOの視点で自動で改善は無い(というよりも無理?)ですね。

8. すでにアクセス解析を入れている企業は、ちゃんとデータを活用できているのか

具体的に活用できているかどうかはわかりませんが、代理店の方の話を聞いている限りでは、活用出来ている企業の方がまだまだ少ない感じ。

また、5月に訪れたOmniture SUMMITでも、来ている方のレベル、講演の内容、質問の内容などが全て日本よりレベルが高い感じでした。

ちなみにアクセス解析の実施企業は48%で平均2.76指標をチェック | Web担当者Forumによるとまだまだ、使いこなせてない感じがします。

9. 無料でお勧めのアクセス解析ツールは Google のサービスですか?

基本はGoogle Analytics 。アクセス解析の基本的な部分はこれでほとんどが出来てしまいます。それ以外だとMicrosoft Ad Centerなんかも結構使えると思います。海外ものであれば、探せば結構色々と出てきます。

10. 携帯でアクセス解析で無料ツールのお勧めのものはありますか?

無料でも探すと少し出てくるようですが、使ったことが全くないのでお薦めはしないでおきます。

この続きはWebアクセス解析の疑問に答える25のTIPS その2で!

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    […] なかの人の方が勉強会で行った、アクセス解析の質疑応答をdiG ITのあんけいさんが自分ならば、こう回答するということをやっていて面白かったので、自分もやってみた。(1ヵ月ぐらい経ってしまって、ネタとしてはちょっと風化してるけども) ==== 1. 複数のアクセス解析ツールをいれた場合、ツールによって数に違いがあるのはなぜか 方式による違いが大きい。 ログ型、キャプチャー型は、ファイルの転送そのものを追いかけるので、サーバーへのリクエスト数として見れば正しいけども、設定しくじると人間じゃないアクセスまで入ってくる。ビーコン型は、JavaScript型なので基本人間がブラウザでアクセスした数になるが、JavaScript(UUやVisitの場合Cookieも)を切ったユーザーの数は当然入らないし、計測タグを張り忘れたページの数値はカウントされない。 ビーコン型の場合は実行スピードにもよる差もある。計測サーバーへのサーバーコールが完了する前に違うページに行ったりするときに発生する。 経験則だと10%ぐらい、ログ型、キャプチャー型のほうが多いことがあるけども、設定しくじったやつだと3倍ちがったことがあったことも。 あと、複数ツール使うのは振り回されるだけなので、オススメしません。 […]