デザイン脳を開く

もともと、建築の教授が「創造性」について評価をするのであれば、「創造性」について説明をすべきだろう。というところから始まった本です。

中身については、様々な建築を例にとりながら、体系立てて建築を発想するための方法について書かれています。

自分は建築の人間ではないので、細かい専門的な部分はわかりませんが、それでも様々な視点で学ぶことが多かった本でもあります。

本書の最初に出てくる「記憶」について2つあり、それは「イメージ記憶」「コトバ記憶」であるというのは面白い視点でした。(これ自体は『「知恵」の再発見』中山正和著からのものだそうです)

イメージ記憶とは5感で感じる部分で、まだコトバになっていないもの、感覚的なもので、コトバ記憶とはコトバとなって結びついている記憶のことを指しています。そして、これらはデザインを行う上で違いを理解しておく必要があると。

コトバによってそこに定義ができ、そこに間隔の違いが出てくるわけです。そして、約束事もここから生まれてくる。

古い建築を基本文法として捉え、そこに違いを見いだし、新たな組み合わせを作っていくことで応用としていく方法もここでは紹介されています。

そして、そうやって出来てきたルールを逸脱するのであれば、それはそれで約束事を学んでおく必要があるだろうという事も書かれています。

このような「知的な違反を犯す」ことでデザインを行おうとすれば、約束事は「厳格に学んでおく」ということが大切です。いい加減に学んだのでは、どこに違反の手を入れていいのか分からなくなってしまうからです。

そして、こんな事も。

ジェンクスの『ポストモダニズムの建築言語』によれば、その中の動きの一つに、「脱構築=デコンストラクション」という発想法があったことが述べられています。この方法を使う場合は、「構築」されている「約束事」が事前に存在していることが前提となります。この構築を踏まえておいて、そこに「ゆらぎ」をかけ、「くずし」を入れながら「逸脱」させることで、これまでにない「新しいことを考える」という方法です。

この他、こういった脱構築以外にも、自然の造形から発想を得たりする方法なども実際の建築やモデルを参考にして紹介されています。

まとめ

創造をするということが、決して1からのものではなく、様々な工夫の中から生まれるのだよということを改めて意識をさせてくれる書籍でした。

「そこに感じる何かがある」 → 「それに名前をつける」 → 「それが何かということをコトバで共有する」 → 「それをベースに発展的構築、もしくは、脱構築を行う」 → 「最初に戻る」

という感じでしょうか。Webって新しいものがどんどん生み出されてきてしまって、構築についてコトバで共有する事があまりないようにも感じます。

この部分についてももう少し、整理出来ればなぁと思う次第です。

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