Adobe Summit 2016 Day1
Experience Business
KeynoteのセッションタイトルはBecoming an Experience Business。一昨年はMarketing Re-Invent、去年はMarketing Beyond Marketingと、ここ2年間はMarketingという言葉が入ってきたところから、今回のKeyとなる「Experience Business」は大きく変化をしたポイントです。
これを考えるにあたって、例年の同様にKeynoteの中ではいくつかのKey Meesageが出てきました。いったん主要なものを列挙してみたいと思います。
- This is the Experience Era
- Experiences Start With Great Content
- Experiences are Powered by Data
- Experience Business Wave
ご覧頂ければわかるようにすべてのKey MessageにExperienceが含まれています。Experience Business の2つ単語がいかに今回において重要なメッセージとなっているかが改めてわかります。
Brad Rencherのパートの中では Disrupting the Enterpriseとの中で Back Office Wave、Front Office Wave の次の波が Experience Business Wave としています。実際にERPなどの業務改善に伴うバックオフィスの整理から、CRMなどSFAなどのフロントオフィスの整理、これまではこの2つで良かったのが、Digital Firstな世の中に変わってきたことで、さらに顧客との間に入る Experience は非常に腹に落ちる説明でした。
1日目のブレイクアウトセッションを確認した中で、2つのポイントで整理をしたいと思います。1つが「Digital Transformation」「Technology」です。念のため、この2つのポイントは特にKeymessageとして出てきたわけではありません。
Digital Transformation
KeynoteではMcDonald’sのCMO Deborah WahlやThe Royal Bank of Scotland(RBS)のHead of Digital AnalyticsのGiles Richardsonなどが登壇。各社のDigital Transformationについて語りました。
McDonald’sはやはりこれまで大衆向けに実施していたマーケティングを大きく方向転換したのは大きいといえます。実際に「これまでは<誰>を見てこなかった」とKeynoteでも明言をしており、それを見ていく取組みを実施しておきており、Appも1000万ドルをかけて開発検証を行っているとのことでした。
また、RBSではやはり金融ということで非常に硬いイメージを持っていますが、そんな中でSupre Star DJという取組みを実施してるとのことです。DJは常にその場に応じて音楽を届け、オーディエンスに合わせてそれを変化させていくことが必要となる、といった部分に自分たちのDigitalでの最適化の取組みと重ねているようです。
そんな活動の中で、すべてのCustomer Journeyを見るJourney Managerを設定し、まずはDigital TouchpointすべてにおいてきちんとTrackingができるようにし、そこから細かく最適化を行っているそうです。
この他、ブレイクアウトセッションでもGeneral MotorsやMacy’sなど様々な企業が組織としての取組みを語っていることを確認できました。2年前のSummitにおいても、People,Process、Platform(Product)の3つのPが重要という話もありましたが、まさにPeople、Processをきちんと企業が向き合うことがExperience Businessを成功させるポイントと感じました。
Technology
Experience Businessにフォーカスしていくことで重要となるのはPeople(人)です。Keynoteでもこの<人>をいかに意識するかが重要と語られていました。ここでは発表されたすべての機能についての細かい言及は避けますが、Adobeの各ソリューションの新機能のはいずれもこの<人>を意識したものとなっていました。
少しだけ触れるとすればその1つは Adobe Marketing Cloud Device Co-op でしょう。これは各社共通で発行されているMarketing Cloud IDを利用して、プライバシーに配慮しながらDeviceのひも付けをしていける機能です。
これによりデモではAdobe Analyticsで売上確認をするにあたっても、それを人単位に切り替えて確認をしたりすることも可能になります。より人を意識した施策の取組みが可能となるわけです。また、Adobe Targetによるパーソナライズもこの機能により、強化されてきます。
同じく<人>にフォーカスしていく中で、よりO2Oを強化するSmatr BagやIOTへの対応などもデモとして繰り広げられるました。Smart Bagは実店舗に訪れ、Mobile Appと買い物カゴをペアリングすることで、カートに入れたものがAppにすぐに反映、そこで簡単に決済をすることができるものです。また、ドライブスルーへの対応なども非常に面白い取組みとなっていました。
より<人>を意識した対応していくためには、それに関わる周縁の作業のコストを同時に下げていかないと取り組むことが難しくなってしまいます。Adobe Analyticsの分析機能の強化やAdobe Campaignの開封率を予想に基づいたタイトルのサジェッション、AEMでの画像のSmart Tagなど様々なUpdateの中でそれを感じることができました。
まとめ
Key MessageではないですがBrad Rencherの言葉の中に1つ印象的なものがありました。
Digital Marketingは誰のためか?あなたでもなく、私でもなく、Adobeでもなく、顧客のためにある
いかに、顧客のExperienceを向上させていくか、そのためには顧客に向いていないと実現ができません。Digital Marketingは手段の1つです。それを理解したうえで、組織としてのDigital Transformation、そしてソリューションとしてのTechnologyの進化の両輪が重要であることを改めて感じた1日となりました。
まだ、あと2日ありますので、どこかでUpdateを行いたいと思います。
< 追記:2016/03/23>
Experience Businessを推進していく上でのKey PointについてKeynoteで触れられていたのですが、本文中で触れるのを忘れてしまいました。下記に記載しておきます。文字にすると当たり前にも感じますが、これを実行していくのは別の大変さがあります。
- Know me & Respect Me
- Speak in One Voice
- Make Technology Transparent(プロセスではなく、結果で)
- Delight Meat Every Turn
これらをいかに実現できるか、1つのDigital Transformationのポイントになるかもしれません。
プレス・メディア記事情報
下記のプレス記事のリンクを貼っておきます。
- Adobe Summit 2016:顧客体験中心のビジネスとは?
- アドビ、個人単位のマーケティングを可能にするクロスデバイスの消費者認識ネットワーク「Adobe Marketing Cloud Device Co-op」を発表
- アドビとコムスコア、デジタルテレビと広告測定を変革
- アドビ、テレビ体験を再定義するAdobe Primetimeの新機能を発表
- アドビのデータサイエンス機能、企業による卓越した顧客体験の提供を支援
- アドビ、パートナーエコシステムを拡充
- < 本日開幕!>Adobe Summit 2016 現地レポート Vol.1
下記にSummitのメディア記事のリンクを貼っておきます。
- 「Adobe Marketing Cloud Device Co-op」が年内開始へ–個人に真のエクスペリエンスを提供可能に – CNET Japan
- テレビ体験パーソナライズ支援で「Adobe Primetime」強化–コムスコアと提携 – CNET Japan
- リアルとデジタルが融合した顧客体験–スマートバッグとサイネージでデモ – CNET Japan
- テレビ体験パーソナライズ支援で「Adobe Primetime」強化–コムスコアと提携 – CNET Japan
- モノより体験―”デジタルエクスペリエンス”が世界を変える―Adobe Summit 2016開幕 (1/2):EnterpriseZine(エンタープライズジン)
- 個人単位のマーケティングを実現し、顧客体験中心のビジネスを/Adobe Summit 2016開催:MarkeZine(マーケジン)
- アドビがDevice Co-opを発表、マーケティングはデバイスベースから人ベースへ (1/2):EnterpriseZine(エンタープライズジン)
- 商品を売るのではなくエクスペリエンスを売る時代に:むささびの視線:オルタナティブ・ブログ