Webアクセス解析の疑問に答える25のTIPS その2

前回のエントリーの続きです。

11. 自社のサーバーが落ちていたにもかかわらず、アクセス解析ツールのログにはアクセスの記録があった。なぜ?

タグ型の場合は別サーバで計測されたため、ISPやブラウザのキャッシュから呼び出された際もカウントされてしまいます。これが一番おおそうな原因です。

あとは、サーバの落ちた場所にもよりますが、パケットキャプチャ型も場合によっては計測出来てしまうかも。

12. 有料ツールを使うメリットってなんですか?

レポーティングとリマーケティングかなぁと思います。個人的にはリマーケティングがかなり大きいと思ってます。

Google Analyticsだと解析したその先が無いんですよね。それに比べて有料ツールの場合は、色々とカスタムしてプラスαのデータを取得することが出来るものもあったりするわけです。

それこそページ参照者を抽出した際に、会員情報と結びつけられるようにしておけば、特定のコンテンツを参照した方を特定できるわけです。そういった方にメールなどで特定のコンテンツに紐づいた内容を送ったりできるわけです。

こういったアプローチが出来ることが、有料ものの強みだと思います。

13. アクセス解析の有料製品の値段が高い理由はなぜ?

データ集計してるんですからねぇ。やっぱり。そこは高いと思います。あとは集計にどのくらいの時間がかかるか、集計サーバの安定度なんかによっても違うと思います。

大規模サイトを計測するのであれば、大規模サイトと同じトラフィックは許容できなければいけないですからね。

個人的には無料で提供できているGoogle Analyticsが異常なんだと思います。

14. サイトの変更がアクセス数にどれだけ影響あるか、のテストの方法はある?

「サイトの変更」と「アクセス数への影響」の規模が分からないのですが、サイト全体のトラフィックとしてのアクセス数を捉える場合は、一部の変更が及ぼした影響を知る方法は難しいでしょう。

ただ、その変更が良かったかどうかを知ることはテストを行えば出来ます。大きくは2つの方法があります。

  1. A/Bテスト
  2. 多変量解析テスト

A/Bテストは2つの方法をテストすることです。時期をづらして行う方法もあるのですが、出来れば同時にランダムに出し分けをした方が良いでしょう。そうすることで、直帰率やCTR、CVRなどを比べるだけでどちらが良いかを判断することが出来ます。

また、多変量解析テストの場合は、1ページの中で同時に複数を変更してテストを行いたい場合などに利用されます。これは、多変量解析を利用して、もっとも最適な組み合わせを見つける方法です。

この両方ともテストを行うツールとしてGoogleが無料で提供をしています( Google Website Optimizer )。これらをうまく利用することで、テストを通してサイトをより良いものにしていけると思います。

15. サイトの URL を変更した場合、アクセス数などに影響はあるか?

サイトのURLを変更した場合に影響がでるのは「検索エンジンに登録されたURL」「CGMコンテンツに貼られたリンク」が多いと思います。

これらの影響はサイトのURLをリダイレクト処理などを行っているかどうかにもよると思います。URLを変更した際に、古いURLをリダイレクト(サーバによる転送やMETAのリフレッシュによる方法など)していればそれほど大きな影響は無いかもしれません。

SEO業者の方に聞いた話ですが、きちんと作られているサイトであれば404になっても、TOPページなどにサイトマップなどをきちんと設定しておけば、再度、キャッシュをし直すそうです。

いずれにしろ、サイトのURL変更の影響を最小限にとどめるためには、色々な準備が必要ですので、きちんと詳しい業者などに確認をしながら行っていくのが良いかもしれません。

16. PC よりモバイルのサイトのほうが、一人当たりのページビューが多いのはなぜ?

これは場合にもよるとは思いますが、多くの場合、携帯で受信できるページのMAXを考慮して、かなり1ページの情報量を絞り込んでいることが多いと思います。

そうすると、同じ目的をもってサイトを来訪した場合、同じ情報量を得てサイトを去るにはページ遷移数が携帯の方が増えてしまうわけです。

17. アクセス解析でよく言われる「離脱率」というのは気にしたほうがいいのでしょうか

離脱率は場所によっては見てもあまり意味のないところもありますが、コンバージョンプロセスでは非常に重要な指標です。

コンバージョンプロセスは既にある程度、コンバージョン(商品購入など)を達成する意思のある方が入ってきているわけで、より離脱が少ない方が良いわけです。

コンバージョンプロセスの中で、離脱率の高いところを見つけ出して、そこを改善していくことで、コンバージョンプロセス中でのCVR(コンバージョン率)をできるだけ100%に近づくようにしていくわけです。

離脱率は悪い部分を見つけ出すためにも利用できますし、改修を行った際の検証にも利用することが出来ます。

通常の回遊コンテンツの中では、目的が達成されたためそこで離脱をされたり、サイトで迷子になってあきらめたなど様々な理由を特定することが難しいためあまり有用では無いかもしれません(かと言って全く使えないわけでは無いと思います)。

18. 日本にない、海外系アクセス解析ツールでのすごい機能はありますか?

個人的に好きなのはClickTaleです。これは一定期間にサンプリングされたユーザーのクリックやスクロールを再生してくれます。また、ページのどの部分が見られている時間が長かったかをヒートマップで表示してくれます。

その他にはWoopraというリアルタイム解析をする中で、現在、サイトに来訪している方とチャットをすることが出来る機能がついているものなどがあります。

19. いまユーザーが求める機能は何?

自分は提供側ではなく、利用側なので、自分の意見として欲しいものを書いておきたいと思います。

一番欲しいのはPCと携帯の両方を共通で認識できるツールですね。現状はどのツールも、PC、携帯がそれぞれ取得できたとしても別々で集計されているわけです。

「これがPCで検索をして、後で携帯で購入した。」などがわかるようになると、解析、アプローチの幅が広がると思います。

ツールの自動化という部分では、ある程度自動的に色々出来るものが少しずつ求められているようですが、日本人の文化なのか、アメリカほど需要が無いと聞いたことがあります。

20. ブログのサービスなど Javascript が使えないサイトでもアクセス解析をしたいが、どうすればいい?

「そのブログを解析して何をしたいのか?」という部分は大きいと思います。ブログの実情を知るだけであれば、最近のブログサービスで提供している解析ツールでも十分に知ることが出来ると思います。

あとは「画像だけ埋め込み」で計測するツールがありますが、これで解析できる範囲というのはブログサービスがデフォルトで提供しているものとそれほど差異はないと思います。

もっと詳細に分析をしたいのであれば、JavaScriptが使えるサービスやログが落とせるサービスなどに移行した方が良いかもしれません。

21. アクセス解析を導入することによる悪影響はあるか?

タグ型の場合は、ページが少し重くなってしまう可能性もあります。また、Scriptのエラーが出ないよう運用で気をつける必要があると思います。

また、まだほとんどの会社で解析を行う人は兼任のようです。そういった中では、仕事量が単純に増えてしまうだけに大変なため使うのをやめてしまう方もいるようです。

たま〜にですが、解析されていることを良いは思わない利用者の方もいるようです。

22. アクセス解析ツールを使うときの落とし穴は?

以前にまとめたWeb解析の功罪3つが参考になるかもしれません。

23. 解析する期間はどのくらいを考えればいい?

解析する指標、量、メッシュなどによると思います。数ヶ月運用しても数十件しかPVが取れないようなサイトを解析しても意味がありません。

逆に1日数万件のアクセスがあるサイトであれば、それだけでも色々な解析を行うことが出来ます。また、月の変動を見る場合は数ヶ月の時系列による比較と、前年同月との比較がわかりやすいです。こういった場合は1年必要になりますね。

そういえばGoogle Analyticsは25ヶ月がログデータの保証期間のようです。2年間の比較できれば良いでしょうという考え方なのかもしれません。(Google Analyticsの過去データは25か月分しか保証されていない | Web担当者Forum

24. アクセス数(PV)と広告料のざっくりとした相場を知りたい

アクセス数の相場はありません。サイトの目的、規模などによって全く変わってきます。他人の数字を考えている暇があったら、まずは、自分のサイトのROIがどのくらいなのかを考えた方がよっぽど意味があると思いますよ。

広告料については、Web系の雑誌などにも掲載されていますし、検索すると結構出てきます。あとは、広告代理店にお願いすればサイトにあったものについて教えてくれると思います。

25. PV とクリックされた数、つまり「クリック率」って、どれくらいになるのですか?

これもそんなことを考えてるくらいだったら、少しでも向上するように考えた方が良いと思います。最初は広告出稿しているもの全体の平均と比較することで、そのサイトの中である程度の良い悪いは判断できると思います。

そのあとは運用、改善を行っていく中で、これ以上は結構大変だなという上限が見えてきます。そこまでくれば、新規出稿する際にそのあたりの数値を目標として置いておくようにしたら良いかと思います。

何度も言いますが「一般的な数値」ほど考える必要の無いものはありません!!

最後に

といった感じで25個に答えてみました。結構長いですね。まぁ、少しでも自分の回答がお役に立てば幸いです。

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