立場で違うKPI

KPIはサイト形態やゴール設定によって違うということは、色々なところで言われていることが多いと思います。しかし、もう1つの軸として見る人の<立場>によっても変わります。

この辺って実はあまり語られていることが少ないなぁという気がするので、このエントリでは、この<立場>によって変わるKPIについて少し触れてみたいと思います。

2種類のKPI

KPIは考えるときに2種類(KBR型KPIとKGI型KPI)に分けて考えると非常に分かりやすくなります。KBR型KPIとは目標値を持ったブレイクダウンというよりも、サイトの戦略をどう実現していくかをキャプチャできるようなものです。

これに対し、KGI型KPIは期間が決まった目標値(KGI)をいかに達成できているかを判断するための指標と捉えていただければ良いと思います。もう少し具体的な考え方や分け方は GoalとKPIに潜むキャズムの乗り越え方 その2 で確認をして頂ければと思います。

さて、冒頭で触れた<立場>によって変わるKPIですが、これは2種類のKPIのうちKGI型KPIで出てくるものだったりします。

立場によって違うKGI

「<立場>によってKPIが違う」というのは、設定されているKGIが立場によって範囲が異なるために起こるものだったりするわけです。

サイトを運営するにあたっては、それに関わる人全員が同じ目標を持つわけではありません。特にサイトが大きくなればなるほど、関わる人の責任範囲は変わってくるわけです。

例を挙げてみましょう。ある服、小物、家具を扱うコマースサイトの運営(KBRは売上向上)を考えた場合、ウェブマスターたるその管理部門の部長はサイト全体の売上に責任を持つわけです。つまり、部長のKGIはサイト全体の売上ですね。

この部長に対し、その部下達は各カテゴリを責任範囲として持っていることが多くあります。つまり、部下たちは自分たちのカテゴリでの売上が責任範囲であり、KGIに設定されるわけです。

部長のKPI

それぞれKGIから落としこんでみます。部長のKGIはサイト全体なわけです。ここではそのKGIを<1ヶ月のサイト全体の売上額>と設定してみます。

サイトの9月の売上目標が3000万円だっととします。これがそのまま部長のKGIになるわけですね。部長は実際に施策を行うというよりも、達成が危ぶまれる場合に部下たちに指示を出す立場になります。

KGI型KPIの場合は、1つのKGIに対して沢山の指標を確認する必要がなく、<このまま行くと達成できそうなのか?、そうではないのか?>といった判断が出来ればよいと言えます。

部長のKGIが金額ですが、計算等がしやすいこともあり購入件数に直して考えていきたいと思います。サイト全体の平均単価が5000円だとすると、必要なコンバージョン数は約6000件/月となります。

コンバージョン数を確認するのは最低限なのですが、これだけだと危ういので、もう1つのサイトに関わる大きな変数として、必要な訪問の数もだしておきます。コンバージョン率が短期的に大きく変わることは少ないので、サイト全体のコンバージョン率を利用します。

サイトの平均コンバージョン率(コンバージョン数÷訪問回数)が2%だったとすると、先程の6000件から逆算して、30万訪問/月必要ということになります。

これをざっくり30日で割ったも、コンバージョン数200件/日、1万訪問/日が1ヶ月の予算を達成するにあたって、部長が日々見るべき指標になるわけです。

部下のKPI

さて、それでは各カテゴリ担当について考えてみましょう。実際には在庫なども考慮していく必要があるのですが、ここでは分かりやすいように売上比率が3カテゴリがそれぞれ同じだったとします。

部長がそれぞれの目標値として6000件を3等分すると、各カテゴリでの売上は2000件/月必要ということになります。これが部下のKGIです。

部下はここから部長と同じようなブレイクダウンでKPIの値を設定していくことになります。2000件を同じようにコンバージョン率で割戻し、獲得すべき訪問を確認します。先程の2%を利用すると約10万訪問/月が必要となってきます。

つまり、実際に日々に落としこむと、コンバージョン数は約67件/日必要であり、その為には約3300訪問/日必要になるわけです。

改めてKPIは違う

ここまで来ればお気づきだと思いますが、部長と部下が参照しているKPIの種類は変わりません。コンバージョンとした時の範囲とその指標の達成度合い(数字の閾値)が変わってきます。

ここら辺が実際の運用を考えた際の、立場によって変わってくるKPIの部分になってきます。KGI型KPIはあくまで目標値に対しての達成度合いを把握するためのもので、これ自体は何も解決はしません。

これらをうまく活用し、目標を達成出来なさそうな場合は、別のアクションをしていく必要があるわけです。このあたりは、ちょっと前のエントリになりますが、短期的な施策と長期的な施策が役立つと思いますので是非合わせて読んで見ていただければと思います。

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