セグメンテーションの構造。

今回、衰弱堂さんのエントリーやコメント(※1)などを含めて改めて自分の行っていることを見直すきっかけとなりました。非常に良い体験だったと思います。

さて、セグメンテーションですが、衰弱堂さんがご指摘のように業界というか利用するにはやはりいくつかの条件があるような気がしました。

需要を作れる?

もともと、前回の自分のエントリーで「メッセージ設定コスト」について触れていたので、この辺りをもう少し考えてみることにしました。

整理をしていくとメッセージが組み立てやすいものと、そうでないものがあるんような気がしたんですよね。もう少し突き詰め、これを以下のようにいったん定義してみました。

レコメンデーションによって需要を作り出せるものはメッセージが利用できる。

「需要」といってしまうとちょっと大げさなのですが、「購買の理由」だと思っていただければと思います。

この「購買の理由」ですが、ビジネスで消費されるものについては難しいものが多い思います。これに対して個人での消費活動は比較的メッセージによって左右されやすいものが多いと思うんですよね。

これが衰弱堂さんのエントリーにもある

セグメンテーションが使えそうな業種が思い浮かびました。季節要因で消費が動き、嗜好性が高い、複数ブランドを抱える…

衰弱堂雑記: セグメンテーションの深層

という部分にも近いものがあるんじゃないかと思ってます。

ちょっと極端な例ですが、JRが利用促進を行うために、何かのメッセージを打ち場合について考えてみたいと思います。

このときに、「出張」の需要そのものを作り出すことは難しいので、ビジネスマンへの需要掘り起こしはなかなか難しかったりするわけです(もちろん手段がないわけではないと思います)。

これに対して、「旅行」といった側面で見た場合は、「そうだ京都に行こう」みたいな感じでメッセージ性を高めたレコメンデーションをすることが出来るようになってきます。

この違いがメッセージが必要かどうかという部分になってくるのだと思います。

メッセージの組み立て

先ほどの例を「出張者」への対応として考えた時、これはSEOを強化した方が良いと思うんですよね。

なかなかタイミングをつかむことも難しいわけで、「出張」が発生したときに検索するワードをうまく拾えるようにした方が良いんだと思います。

これに対して、「旅行者」への対応の場合は色々なポイントでのメッセージが考えられるわけですよね。既に「京都に行きたい」という認識をしていいる人もいれば、「紅葉が見たい」という人もいるでしょう。また、特に何も考えていない人もいるでしょう。

これらの人々にはある程度メッセージを最適化していくとは可能だと思います。既に「京都に行きたい」という人に「綺麗な紅葉を見に行きませんか?」なんて必要ないわけです。

また、「不必要な人にはメッセージを表示しない」という考え方も出来ると思います。例えば上の例で見るならば、「京都に住んでいる人」に「京都に行こう」というメッセージはいらないわけです。

これは、企業側がより合ったメッセージを送るというよりは、「判っているなら無駄な情報を見せない。」という考え方に近いでしょうか。

Web解析におけるセグメンテーション

まぁ、このブログもすっかりWeb解析ばかりになってしまったついでに、ここにも触れてみたいと思います。

今後の動きですが、以前に書いたエントリーのWeb解析を2つの視点で整理した時のマーケティングへの再利用という部分が大きいと思ってます。

これはTOYOTAのレコメンデーションエンジンしかりですが、需要を作り出すことができる商材といっても、決定までに時間がかかるものもあるわけです。それは車であったり、家であったり…

そういった際には、やはり数回サイトを訪問する可能性もあるわけです。こういった時に、前回の訪問を利用して、クロスセルやアップセルをかけることも出来るようになります。

ただ、やはりそういった際もメッセージを設定する必要があるわけで、その際、セグメンテーションによってコントロールするというのが出来るのかなぁと思ってます。

まとめ

今回、色々と考えることで、商材によって、Webマーケティングの力の入れ方ややり方というのもずいぶん変わるんだろうなぁというところが見えてきました。

自分の場合は、普段はかなり偏ったビジネスを相手に考えているため、これは今回の大きな収穫でした。

一概にセグメンテーションを行いながら、戦略を考えていくだけではなく、セグメンテーションすることを本当に必要かを考え、資材投下を適切に行っていくことを意識しないといけないですよね。

う~ん…全体的に考えていたことをうまく書き出せたかはわかりませんが、とりあえず今回はここまで。

※1:私が衰弱堂さんの「セグメンテーションの幻想」を読んで「セグメンテーションの現状。」を書き、その後「セグメンテーションの深層」を衰弱堂さんが書かれたという流れになっとります。

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  1. 衰弱堂

    あんけいさん、たびたびお邪魔いたします。

    恥ずかしながら某誌をちら見して、ああなるほどと事情がおおよそ腑に落ちました。
    このエントリーのJRの例もそうですが、同一サービスがビジネスユースとパーソナルユースにはっきり分かれ、かつパーソナルユースにも季節需要(夏季・冬季・年末年始)や利用目的がはっきりあらわれ、かつデモグラフィックから利用頻度がおよそ推測できる場合、セグメンテーションは効果的だと思います。

    ただ、それでもセグメントしない方向性はありだな、ということを、逆に「そうだ、京都行こう。」キャンペーンなどは思わせる力がある気がするんですよね。

    これはきわめてクリエイティブに優れているがゆえに、ほとんどすべての人に届くメッセージのように思うんですよ。出張目的のサラリーマンでも、それこそ京都に住む人であっても、このメッセージが届くことがデメリットにはならないのではないかと。

    ここはたぶん、マーケティングの組み立てとして、プッシュで拾っていくダイレクトマーケティングに寄せるのか、文脈をベースに吸引を図るブランドビルディングに寄せるのかの違いのような気もします。そして、それを決めるのは結局商品なりサービスなりをどのポジションに置くかというWebマーケティング以前の諸戦略なのかもしれません。リアルの商品・サービスをWebサイト単体でブランド化するのはハードですし。

  2. あんけい

    衰弱堂さん こんにちは。

    あら、なんか見ましたと報告されると恥ずかしいですね。まぁ、そういうことなんです。よって、セグメンテーションが必要なところにいるわけでして。

    「京都へ行こう」については後で、違う例が良かったな~とも思っていたのですが、ご指摘の通りセグメンテーションの要らないメッセージだと思います。マス全体へのメッセージで良いわけで、だからこそCMで使われるべきメッセージだと思ってます。

    今回はセグメンテーションをする事に的を絞っていたため触れていなかったですが、ブランディングという視点もメッセージ設定する際に考えなければならないと思うんですよね。